大邱市街の南をふさぐようにそびえる前山(アプサン)は、その名のとおり大邱の人にとって「目の前にある山」です。標高660mの山の北側の谷には、大邱で最も大きな都市自然公園が整備されています。ケーブルカーに乗ればわずか5分で展望台に着き、盆地の街・大邱を一望できます。夕暮れから夜にかけて、夜景を見に訪れる人も多い場所です。
前山は大邱の南区と達西区にまたがり、左右に山城山(サンソンサン、653m)、大徳山(テドクサン、546m)が連なっています。1832年に編まれた『大邱邑誌』には「成佛山(ソンブルサン)」と記されており、これが本来の名前だったようです。大邱市は1970年代初めにこの一帯を前山公園に定め、開発を始めました。
公園には散策路や登山道が網の目のように延び、山麓には弓道場、プール、乗馬場といったスポーツ施設もあります。大谷(クンゴル)入口にある洛東江勝戦記念館は1979年に開館した施設で、朝鮮戦争の際に洛東江戦線で大邱を守り抜いた戦いを伝える展示館です。安逸寺(アニルサ)、隠跡寺(ウンジョクサ)、林休寺(イムヒュサ)といった古いお寺も、谷ごとにひっそり佇んでいます。
公園は、クンゴル、コサンゴル、アンジランゴル、ヨンドゥゴル、タルビゴルなど、谷ごとに入口が分かれています。園内には忠魂塔、国連参戦記念碑、独立運動家・李始栄(イ・シヨン)先生の殉国記念碑などの記念物があり、散策がそのまま大邱の近現代史をたどる道にもなります。