梁山(ヤンサン)の千聖山(チョンソンサン)の谷に、滝の脇の崖に本堂が張りついたお寺があります。弘龍寺(ホンニョンサ)は、寺の名前からしてすぐ隣の弘龍滝にちなんでおり、滝のしぶきが届きそうな場所に観音殿が立っています。大きなお寺ではありませんが、水の音と岩、お堂がひとつの景色に収まる光景は、ほかのお寺ではなかなか見られません。
弘龍寺は、新羅の文武王の時代に元暁大師(ウォニョテサ)が建てたと伝わっています。元暁が千聖山で、唐から来た僧1千人に華厳経を教えていたときに建てたお寺で、僧たちが寺の脇の滝で身を清めて説法を聞いたことから、最初の名前は「水が落ちる寺」という意味の落水寺(ナクスサ)でした。千人がみな悟りを開いて聖人になったという話から、山の名前「千聖山」が生まれたといわれます。それ以前は円寂山(ウォンジョクサン)と呼ばれ、元暁がこの山に庵を89か所建てたという話も伝わっています。
壬辰倭乱(文禄・慶長の役)で焼けた後、数百年のあいだ寺跡だけが残っていましたが、1910年代に通度寺(トンドサ)の僧・法華が再興しました。現在の名前「弘龍」は、滝の名前に由来するといわれています。1970年代末に、雨光(ウグァン)和尚が住職として来てから何度か建て直され、今の姿になりました。
多くのお寺では大雄殿が中心ですが、ここでは滝と観音殿がお寺の顔の役割を果たしています。階段を上って観音殿の前に立つと、滝が目の高さで落ち、水の音がお堂の中まで響きます。