南楊州(ナミャンジュ)の真ん中にそびえる天馬山は、頂上の標石で812mあり、ソウルの東から電車で行って登れる高い山です。その名のとおり「天に届きそうな」急な山容に加え、早春には谷ごとに野の花が咲くため、野草を撮る写真家たちの間では「新兵訓練所」というあだ名で呼ばれています。山頂からは、坪内(ピョンネ)・好坪(ホピョン)や五南(オナム)一帯、重なり合う山並みが気持ちよく見渡せます。
名前は、高麗末期の李成桂(イ・ソンゲ)にまつわる逸話に由来すると伝えられています。ここへ狩りに来た李成桂が山を見て、「行く先々に青い山は多いが、あの山は青い空に笏(しゃく)を突き立てたようだ。腕があと三尺長ければ、天に届くだろうに」と言った、という話です。山が険しいため、朝鮮時代の盗賊林巨正(イム・コッチョン)がここに根城を構えたという伝説もあり、それにちなんだコッチョン岩が残っています。高さは資料によって810m余りとされることもあります。
山は南楊州市の好坪洞、五南邑、和道邑にまたがっています。1983年に郡立公園に指定され、南楊州が市になった後もしばらく名称が維持されましたが、2023年8月に市立公園となりました。2002年には山林庁の100名山に選ばれています。
尾根が山頂を中心に四方へ伸びているため、麓のどこからでも山頂が見えるのも特徴です。山容が険しく荒々しいことから、昔は「夫に見捨てられた妻のような山」というあだ名もありました。北の尾根をたどると、隣の鉄馬山(チョルマサン、711m)につながります。