昔から**「春麻谷 秋甲寺」(チュンマゴク・チュガプサ)という言葉が伝わっています。春の風景は麻谷寺(マゴクサ)が、秋の風景は甲寺が一番だという意味です。鶏龍山(ケリョンサン)の北西のふもとにある甲寺**(カプサ)は、老松とケヤキの森の間を入っていく道から雰囲気が格別で、渓谷に沿って滝や岩が続きます。古い歴史のとおり、宝物に指定された文化遺産も多い寺です。
寺の記録によれば、甲寺は百済の久爾辛王(クイシンワン)元年である420年に、高句麗から来た阿道和尚(アドファサン)が初めて建てたといいます。556年に恵明(ヘミョン)大師が堂宇を再建し、新羅の義湘大師が建物を大きく増やして、華厳宗の中心道場である華厳十刹のひとつとして栄えました。天と地と人のなかで第一(甲)という意味から、甲寺と名づけられたと伝わっています。
壬辰倭乱のとき、甲寺は霊圭大師(ヨンギュテサ)を中心に起こった僧兵の拠点でした。しかし1597年の丁酉再乱のときに寺がすべて焼け、1604年に大雄殿と鎮海堂を再建して、今の姿が整い始めました。朝鮮時代にも王室の保護を受け、釈迦の一代記を記した月印釈譜の木版を彫ったこともありました。
甲寺は、鶏龍山のいくつもの寺のなかでも、文化遺産が特に豊富です。大きな布に仏を描いて野外の法会のときに掛ける三身仏掛仏幀は国宝に指定されており、鉄幢竿、僧塔、銅鐘、月印釈譜木版、釈迦如来三世仏図が宝物に指定されています。大雄殿と大寂殿、講堂などの建物や、いくつもの仏像も、忠清南道の文化遺産です。甲寺は、公州を代表する景色を選んだ公州十景にも名を連ねています。