漢拏山の南西側にある霊室探訪路は、漢拏山のいくつものコースの中でも短めでありながら、景色がもっとも優れた道のひとつに数えられます。出発点の霊室休憩所は標高約1,280mと高く、登り始めてすぐに、垂直の岩壁と石柱が並ぶ霊室奇巌が広がり、稜線の上では広い高山草原ソンジャクチワッを抜けてウィッセオルムまでつながります。白鹿潭の頂上まで行かなくても、漢拏山の高所の風景をしっかり味わえるコースです。
霊室探訪路は、霊室休憩所からウィッセオルムを経て、白鹿潭の南壁の下にある南壁分岐点までの5.8kmです。公式の案内では、ウィッセオルムまで約1時間30分、南壁分岐点まで約2時間30分かかります(片道)。序盤の森の道を過ぎると階段が続く急な登りになり、稜線に上がると、木のデッキが敷かれたなだらかな高原の道に変わります。きつい区間が長くないので、子ども連れの家族もよく登っています。ただし、霊室コースでは白鹿潭の頂上には登れません。頂上へは、探訪予約が必要な城板岳・観音寺コースからのみ行けます。
登りの中腹から渓谷の向こうに広がる岩の断崖が、霊室奇巌です。白鹿潭の南西、標高1,600m余り付近に高さ約250mの垂直の岩壁が取り囲み、その上に石柱が突き立っています。岩の姿が、釈迦如来が説法した霊山に似ていることから、霊室(ヨンシル)という名前がつきました。屏風のように並ぶ断崖は屏風岩、説法を聞く弟子たちのように見える石柱の群れは五百羅漢と呼ばれ、たくましい将軍たちのようだということで五百将軍とも呼ばれます。石柱の数は、資料によって500余り、または1,200余りと、異なって伝えられています。
屏風岩は、直径1〜2mほどの柱状節理がよく発達した断崖で、漢拏山粗面岩が長い風化と浸食を経て、今の姿になりました。一帯の粗面岩は、南北約1.5km、東西約1kmの楕円形に広く分布していて、渓谷全体が巨大な岩の円形劇場のように見えます。一帯は2011年に「漢拏山霊室奇巌と五百羅漢」の名で名勝に指定され、済州の昔の絶景を選んだ瀛洲十二景では第9景です。霧が渓谷を上り下りする日には、石柱が現れては消えるのを繰り返し、晴れた日とは違った雰囲気になります。
渓谷の下のほうには落葉広葉樹が茂り、探訪路の入口には幹が赤い松の森があります。海岸でよく見るクロマツとは違う松で、地元では「ファンソン(黄松)」とも呼ばれます。上に登るほど済州ザサが地面を覆い、稜線の近くでは、チョウセンシラベ、ナナカマド、ガンコウランといった高山植物が現れます。森を抜けると、ウィッセオルムの南に広がる標高約1,700mの高原ソンジャクチワッに出ます。春にはトルジンダルレ(毛のあるツツジ)、続いてサンチョルチュク(山ツツジ)がこの草原をピンク色に染め、サンチョルチュクは年による差はありますが、おおむね5月末〜6月初めが見頃です。
稜線の上の高原を歩いていくと、ウィッセオルムに着きます。「上にある三つのオルム」という意味で、並んで立つ小さなオルム(岳、済州の火山性の小丘)三つをまとめて呼ぶ名前です。ウィッセオルムは、霊室・オリモク・トンネコのコースが出会う場所なので、霊室から登ってオリモクコースで下りる人も多くいます。この場合は出発地と到着地が異なるため、バスの時間や車の回収をあらかじめ計画しておきましょう。ウィッセオルムからさらに東へ歩くと、南壁分岐点です。白鹿潭の火口を囲む南側の岩壁が目の前に迫り、霊室コースから漢拏山の頂上部をもっとも近くに見られる場所です。ソンジャクチワッという名前も面白く、石の多い砂利の原という意味に解釈されます。実際、草原のあちこちに大小の岩が散らばっています。
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