階段を下りて、丸い岩が敷きつめられた海岸に立つと、崖の上から落ちた水の流れが、海辺の水たまりを抜けて、そのまま波と混ざります。正房瀑布(チョンバンパクポ)は、西帰浦の中心街から南東へ約1.5km離れた海岸の滝で、滝の水が海へまっすぐ落ちるめずらしい姿から、済州を代表する風景になりました。天地淵(チョンジヨン)瀑布、天帝淵(チョンジェヨン)瀑布とともに、済州三大瀑布に数えられます。
漢拏山の南側の斜面を流れ下る川の終わりが、柱状節理の発達した海岸の崖にぶつかって、滝になりました。高さは約23m、幅は水が多いときで8mほど、下の滝つぼの深さは約5mと紹介されています。東洋で海へ直接落ちる唯一の海岸の滝として知られています。
伝説も多く残っています。中国の秦の始皇帝の命を受けて不老草を探しに来た徐市(ソ・ブル、徐福)がここを通りがかり、崖に「徐市過此」(徐市、ここを過ぐ)という文字を刻み、西へ帰っていったことから「西帰浦」という名前が付いた、という話です。滝の下で太鼓を打って遊ぶと、竜が現れていっしょに踊るという伝説も伝わります。昔から「正房観瀑」として瀛洲十景に、「正房夏瀑」として瀛洲十二景に数えられ、1702年に済州牧使の李衡祥(イ・ヒョンサン)が船を浮かべて滝を眺めた場面が、画帖**『耽羅巡歴図』**の「正房探勝」に残っています。2008年に名勝に指定されました。
正房瀑布は、済州4・3事件のときに虐殺が起きた場所でもあります。1948〜1949年にこの一帯で何度も住民が犠牲になり、滝の上の旧たばこ工場で殺された住民の遺体が、滝の下へ捨てられたと伝えられています。滝を見に行く道すがら、この歴史もあわせて心に留めておいてください。