江原道(カンウォンド)の平昌(ピョンチャン)、江陵(カンヌン)、洪川(ホンチョン)にまたがる五台山(オデサン)は、とがった岩山ではなく、やわらかな稜線と深い森で記憶される山です。山頂の毘盧峰から眺めると5つの峰が屏風のように並び、その下の谷ごとに千年を超えるお寺や庵が点在しています。韓国仏教でもっとも神聖な山のひとつであり、1975年に指定された国立公園です。
主峰の毘盧峰(ピロボン)は標高1,563mです。そこに東台山(トンデサン、1,434m)、頭老峰(トゥロボン、1,422m)、象王峰(サンワンボン、1,491m)、虎嶺峰(ホリョンボン、1,561m)が加わり、「5つの台の山」という名前が生まれました。西には国立公園内の最高峰である桂芳山(ケバンサン、1,577m)が続き、東に離れた老人峰(ノインボン、1,338m)の下には、岩の渓谷小金剛(ソグムガン)が広がります。
このため国立公園は、五台山地区、小金剛地区、桂芳山地区に分かれます。五台山と桂芳山は、峰が平らで稜線がなだらかな土山で、花崗岩がむき出しになった小金剛は、「小さな金剛山」という名のとおり、奇岩と滝が続きます。五台山は、白頭山から智異山(チリサン)まで続く山脈白頭大幹のまんなか、雪岳山(ソラクサン)と太白山(テベクサン)のあいだにあります。
643年、新羅の慈蔵律師(チャジャンユルサ)が中国の五台山で文殊菩薩に会ったのち、新羅にも似たような5つの峰の山があるという教えを受けて、この山を訪ねたと伝えられています。慈蔵は中心の谷に月精寺を建て、毘盧峰の南の斜面に仏舎利を祀りました。ここが現在の寂滅宝宮(チョンミョルボグン)です。それ以来、五台山は文殊菩薩がとどまる聖地とされ、5つの峰の下に上院寺(サンウォンサ)やいくつもの庵が置かれました。
朝鮮時代の後期には、王朝の実録を保管していた五台山史庫(オデサンサゴ)も、この山の中に置かれました。1964年にこの山で初めて発見されたアヤメには、山の名にちなんだ学名「イリス・オダイサネンシス」が付けられました。深い森の中にある高層湿原の一部は、2008年にラムサール湿地に登録され、生態系を守るため一般人の立ち入りが制限されています。
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