浦項(ポハン)の北、内延山(ネヨンサン)の麓にある宝鏡寺は、浦項でいちばん大きな寺です。寺の名前は「宝の鏡」という意味で、実際に地中に鏡を埋めて寺を建てたという創建伝説に由来します。境内を見たあと、そのまま渓谷沿いを歩くと内延山十二瀑布の探勝路につながっているので、寺と滝の散策を半日で組み合わせるのにぴったりです。
伝承によると、新羅の真平王の時代、603年に、中国で学んで帰った僧・智明(チミョン)が、八面の鏡「八面宝鏡」を持ち帰りました。東海岸の明堂(めいどう、吉相の地)にこの鏡を埋めれば、倭寇を防ぎ、三国を統一できるという予言とともに授かったといわれています。鏡を埋めた場所に建てた寺なので、名前が宝鏡寺になりました。高麗の高宗の時代には円真国師(ウォンジングクサ)が住職を務めて寺を大きく再興し、その後も何度か再建されて、周辺の庵まで抱える大寺院になりました。現在は、大韓仏教曹渓宗(チョゲジョン)第11教区の本山である仏国寺(プルグクサ)の末寺です。
宝鏡寺が持つ宝物は全部で5件です。上の寂光殿・円真国師碑・僧塔のほかに、朝鮮の粛宗の時代につくられた瑞雲庵の銅鐘と、大きな法要のときに掛ける掛仏幀(けぶつてい)が宝物です。
宝鏡寺の裏に続く渓谷は長さ約10kmで、そのなかに滝が12か所、順番に並んでいます。最初の滝である上生瀑布(サンセンポッポ)までは、寺から約1.5km。道がよく整備されているので、スニーカーでも往復できます。もう少し歩きたい方は、名高い観音瀑布と延山瀑布まで行ってみましょう。観音瀑布の脇の岩壁には洞窟が開いていて、延山瀑布の上には吊り橋が架かっており、渓谷の景色を上から見下ろせます。
滝がこんなふうに連なってできたのには理由があります。渓谷の岩は、中生代白亜紀に火山灰が固まってできた凝灰岩です。火山灰が冷える過程で収縮して細かい割れ目(節理)ができ、そこにしみ込んだ水が凍って溶けることを繰り返して岩を剥がし、階段状の崖と滝がつくられました。落ちる水が底を深く丸く削ってできた釜(滝壺)も、あちこちにあります。上生瀑布の下の釜を見ると、その過程がよく分かります。内延山渓谷は、こうした地形のおかげで慶北東海岸国家地質公園の名所に数えられています。
真景山水画で名高い画家・謙斎 鄭敾(キョムジェ チョン・ソン)は、1733年から1735年までこの一帯を治めた清河県監(チョンハヒョンガム)でした。その時代に内延山の滝を題材に「内延三龍湫図」など何点もの絵を残し、延山瀑布の近くの岩には「甲寅秋 鄭敾」、つまり1734年秋の鄭敾という文字が刻まれているといわれています。滝の前で絵の構図を思い浮かべてみるのも、この道を歩く楽しみのひとつです。
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