周王山(チュワンサン)国立公園の探訪路が始まるところにある寺が、大典寺(テジョンサ)です。境内に立つと、本堂の屋根の向こうに巨大な岩の峰旗岩(キアム)がそびえていて、周王山を紹介するときにいちばんよく使われる風景になっています。登山の前にちょっと立ち寄る寺と思われがちですが、朝鮮中期の木造建築の姿をよく残す普光殿(宝物)があり、別に時間を取って見る価値があります。
寺の始まりについては、2つの話が伝わっています。ひとつは、新羅の文武王12年にあたる672年に義湘(ウィサン)大師が建てたという話で、もうひとつは、高麗の太祖2年にあたる919年に、この山に隠れ住んだ周王の息子、大典道君(テジョンドグン)が建てたという話です。寺の名も、大典道君に由来するといわれています。壬辰倭乱(文禄・慶長の役)のとき、四溟大師(サミョンデサ)がここで僧兵を訓練したと伝えられ、護国の寺とも呼ばれています。
寺は壬辰倭乱で焼け、1672年(顕宗13年)に再建されました。この年代は、1976年に普光殿を補修していて、梁の上から出てきた上棟文(建築記録)で確認されました。
周王山という山の名にも伝説が絡んでいます。中国で反乱を起こして追われてきた周王が、この山に隠れて暮らし、新羅の馬将軍に殺されたという話で、山中の洞窟や岩の名前のあちこちに、その痕跡が残っています。大典寺は、この伝説の舞台に入る最初の関門にあたり、毎年多いときで100万人が、この寺の境内を通って山へ入るといいます。