芙蓉台(プヨンデ)は、安東(アンドン)の河回(ハフェ)村をぐるりと囲んで流れる洛東江の対岸、北側の川辺にそびえる高さ64mの断崖です。崖の上に立つと、川がS字に巡る「水回り」の中に、河回村の瓦屋根の家と藁ぶきの家がまるごと収まって見えます。村の中からは分かりにくい河回の地形が一目で理解できる場所なので、村を見て回った後に、必ず立ち寄る人が大勢います。
芙蓉台は、太白山脈の流れが洛東江に至って終わる場所にそびえています。「芙蓉」は蓮の花を意味し、河回村が水に浮かぶ蓮の花の形をしていることから、村の古い名前にちなんだものだといわれます。そのため、村をいちばんよく見下ろせるこの断崖に、その名が付きました。
断崖の下と両脇には、河回の豊山柳氏の兄弟が学問を修めた家があります。兄の謙菴・柳雲龍(リュ・ウンニョン)は1567年に断崖の西側の高いところに謙菴精舎を、弟の西厓・柳成龍(リュ・ソンニョン)は1586年に断崖の東の川辺に玉淵精舎を建てました。兄弟が断崖を挟んで向かい合っていたわけです。
昔の河回の人々は、川の水が減る冬になると、木や松の枝、土で柴橋(ソプタリ)を架けて川を渡りました。1970年代初めまで続いた風景で、柳成龍の孫・柳元之(リュ・ウォンジ)が選んだ「河回16景」にも登場します。2019年のエリザベス2世女王の訪問20周年を記念して、万松亭の前から玉淵精舎の方へ柴橋が再び架けられ、台風で流された後、2020年に長さ114mに補強されて再開通しました。
夏の夜には、芙蓉台の断崖の頂上から川向こうの万松亭の松林まで綱を張り、火を吊り下げる船遊び綱火遊び(ソニュ・ジュルブルノリ)が開かれることもあります。旧暦7月16日ごろに両班たちが楽しんだ舟遊びに由来する遊びです。