智異山(チリサン)の南麓、河東(ハドン)の花開面(ファゲミョン)から雙磎寺(サンギェサ)へ上る道にある河東野生茶博物館は、韓国の茶栽培が始まった場所として知られる花開の茶文化を紹介する公立博物館です。岩の間に育つ野生の茶畑の物語を映像とデジタル体験で紹介していて、観覧は無料。茶礼や茶葉の釜炒りといった体験もあわせれば、花開の茶畑旅行の出発点にぴったりです。
『三国史記』には、新羅の興徳王3年(828年)に、唐から戻った使臣の大廉(テリョム)が茶の種を持ち帰ると、王がそれを智異山に植えさせたという記録があります。河東では、その種がまかれた場所を智異山南側の花開の谷と見ており、その後、雙磎寺の真鑑禅師(チンガムソンサ)が茶を広めたと伝えられています。朝鮮後期の草衣禅師(チョイソンサ)は『東茶頌』で、花開洞の茶の木が四、五十里にわたって育ち、わが国にこれより広い茶畑はないと記しました。花開の茶は、高麗と朝鮮を経て19世紀後半まで国に貢物として納められ、在来種の茶が危機を迎えた日本統治時代にも、茶の木と茶礼文化は受け継がれました。
花開は山が険しく洪水も多いため、稲作が難しい場所で、人々は早くから山の斜面の岩や石の隙間に茶の木を育てながら暮らしてきました。化学肥料の代わりに、周辺のナラの森から得た材料でつくった堆肥を使う方式も受け継がれてきました。この伝統的な茶農業は、2015年に国家重要農業遺産に、2017年には国連食糧農業機関(FAO)の世界重要農業遺産に指定されました。博物館は、まさにこの茶畑と茶農業の物語を中心に構成されています。
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