咸陽・休川(ヒュチョン)面モキョン村の前の小川のほとりに、根元から幹がいくつにも分かれ、丸い傘のように広がる松が一本立っています。枝が九つに分かれているということで九松(クソン)、つまり「9本の松」という名がつきました。約300年前に村を開いた一族が植えたと伝わる木で、野原のただ中で、村の始まりを今も記憶しています。
九松は樹齢約300年と推定されています。この村に初めて入って居を構えた晋陽鄭氏 鶴山公派(チンヤン・チョンシ ハクサンゴンパ)の人々が植えたと伝わり、木一本がそのまま村の由来でもあります。生物学的にも珍しい形の松であり、村の由来を伝える文化資料でもあることが認められ、1988年に国の天然記念物に指定されました。
この木は、まっすぐ一本の幹で育つ一般的な松と違い、下のほうから幹が分かれる盤松(パンソン)系の姿をしています。盤松は、幹が根元近くで何本にも分かれ、半円形の傘のような形をつくる松で、庭木として植えられることは多くても、野原でこれほど大きく育った木は珍しいものです。もともと九つに分かれていた枝のうち、2本は枯れて、今は7本が残っています。最近の測定では、木の高さは11.2mで、胸の高さで3つに分かれた幹の周囲は、それぞれ2.1m、1.7m、3.4mです。指定当時の記録には、高さ13.1m、周囲4.5mと記されており、資料によって数値が少し異なります。
近づくと、太い幹が互いにもたれかかるように斜めに伸び上がり、その上で枝が大きく広がって、巨大な緑の屋根をつくっている様子がよく分かります。木の下には保護柵と案内板があり、周囲には田んぼと小川、智異山(チリサン)のふもとの山並みが続きます。遠くから見ると、村の入口を守る憩いの木のような雰囲気があります。