俗離山(ソンニサン)の法住寺(ポプチュサ)へ入る道のまんなかに、鉄の支柱に枝をもたせかけた大きな松の木が1本立っています。正二品松(チョンイプムソン)は、朝鮮の王から大臣級の官位である正2品を授かったという話で有名な木です。樹齢約600年と推定される天然記念物で、俗離山を象徴する風景なので、法住寺へ向かう道すがら、ぜひ一度立ち止まりたくなります。
伝わっている話はこうです。1464年、世祖が法住寺へ行幸する際、王の乗った輿がこの松の下を通ることになりました。下に垂れた枝に輿が引っかかると、世祖が「輿が引っかかる」と言い、すると松が自ら枝を持ち上げて、輿が無事に通り抜けたといいます。帰り道には、急に降り出した雨をこの木の下でしのいだという話も伝わります。世祖は松の忠義をたたえて正2品、いまでいえば大臣級の官位を授け、そのときから正二品松と呼ばれるようになりました。
伝説ではありますが、王に仕えていた時代の様子をよく表している話なので、木の生物学的な価値とともに、文化的な価値も認められています。1962年に天然記念物に指定され、2008年にいまの名称「報恩 俗離 正二品松」に変わりました。
この松は、もともと笠や傘を広げたような、整った左右対称の姿で有名でした。しかし1980年代初め、マツバノタマバエの被害を防ぐために大規模な防虫ネットをかぶせなければならなくなり、1993年には強風で西側の大きな枝が折れて、姿が大きく変わりました。その後も風や雪で枝を失い、いまは複数の支柱が枝を支えています。木の周りには保護柵があり、近づくことはできません。
正二品松の種や接ぎ穂から育てた後継木は、全国のあちこちに植えられました。また約6km離れた書院里(ソウォンニ)には「正夫人松」と呼ばれる松があり、正二品松の妻とみなして、二本の木の間で婚礼を挙げるように花粉をつなぐ行事が開かれたこともあります。
正二品松は、俗離山国立公園の入口に立っているので、木を見たあと、そのまま山とお寺へ続けて歩くのに向いています。