済州の南西部、平らな野原の上に鐘のようにぽっかりとそびえる山房山(サンバンサン)は、高さ395mの溶岩の塊の山です。漢拏山(ハルラサン)、城山日出峰(ソンサンイルチュルボン)とともに済州の三大山と呼ばれ、中腹の岩窟山房窟には仏様が祀られています。すぐ下の龍頭海岸とあわせて巡れば、済州の火山地形を一度に理解できます。
山房山は、粘り気のある粗面岩質の溶岩が遠くまで流れず、そのまま積もって固まった釣り鐘形の溶岩ドームです。測定の結果、約70万〜80万年前にできたとされ、済州の中でも古い地形に属します。「山房」は洞窟のある山という意味で、南側の標高約150mの地点にある海蝕洞から名がつきました。山房山は2011年に名勝に指定され、険しい岩壁に張りついて育つ植物のおかげで、山房山岩壁植物地帯も別に天然記念物として保護されています。雲が山を包むと雨が降るといわれるほど、天気を知らせる山としても親しまれてきました。
済州には、山房山がもともと漢拏山の頂上だったという話が伝わっています。猟師が放った矢が天の玉皇上帝(オクァンサンジェ)の脇腹をかすめると、怒った玉皇上帝が漢拏山の峰を引き抜いて投げ、抜けた跡が白鹿潭(ペンノクタム)に、飛んでいった峰が山房山になったというのです。実際には二つはできた時期も過程も異なりますが、山房山の周囲が白鹿潭と似ていて、どちらも粗面岩でできているという点が、この話をいっそうそれらしくしています。山房窟の天井から落ちるしずくは、山を守る女神山房徳(サンバンドク)の涙だという伝説もあります。