慶州文武大王陵は、慶州市文武大王面(ムンムデワンミョン)の烽吉里海岸から約200m離れた海上の岩礁です。三国統一を成し遂げた新羅の第30代・文武王(在位661〜681)が眠っていると伝わる場所で、海の中につくられた王陵という点で、ほかではなかなか見られない遺跡です。遠くから見ると普通の岩礁のようですが、そこに込められた物語を知ってから眺めると、海岸の風景がまるで違って見えてきます。
『三国史記』によると、文武王は亡くなるにあたり、仏教式に火葬した後、東海に葬ってほしいと言い残しました。そうすれば龍となって、東海に攻め入る倭寇を防ぐというのです。文武王は、父・太宗武烈王の遺志を受け継いで高句麗を滅ぼし、唐の勢力を追い出して三国統一を完成させた王です。息子の神文王(シンムンワン)は父の遺志をしのび、近くに感恩寺(カムンサ)を完成させ、法堂の下に海のほうへ水路を通して、龍になった王が出入りできるようにしたといいます。文武大王陵は1967年に史跡に指定されました。
大王岩を成す花崗岩は約5千万年前にできたもので、岩の表面の割れ目は約3千万年前の大きな地震でできたとみられています。そのため、ここは歴史遺跡であると同時に、地質名所としても紹介されています。南の蔚山(ウルサン)にも「大王岩」という岩があり、文武王の王妃が龍となって宿ったという話が伝わるため、2つの岩を一緒に訪れる人もいます。