江華島(カンファド)の石毛島(ソンモド)、洛伽山(ナッカサン)の中腹にある普門寺は、襄陽(ヤンヤン)の洛山寺(ナクサンサ)、南海(ナメ)の錦山・菩提庵とともに、韓国の三大海上観音祈祷道場に数えられる寺です。海から引き上げた石仏をまつったという石窟のお堂、眉毛岩の下に刻まれた高さ9mを超える磨崖観音菩薩坐像、そしてその前から見下ろす西海(黄海)の夕日が、普門寺を訪れる理由です。
普門寺は、新羅の善徳女王4年の635年、金剛山(クムガンサン)で修行していた僧・会正大師(フェジョンデサ)が観世音菩薩に出会ったあと、江華に下りてきて建てたとされています。観世音菩薩がおられるという山の名にちなんで山を洛伽山と呼び、観音菩薩の願力が広く大きいという意味で寺を普門寺と名づけました。
創建から14年後の649年には、釈迦牟尼仏や弥勒菩薩など22体の石像を海から引き上げて石窟にまつったと伝えられています。ある漁師が網にかかった石の塊を夢のお告げのとおりにまつったところ、大金持ちになったという伝説も一緒に残っています。祈りの霊験があらたかだとして、この石窟は神通窟(シントングル)とも呼ばれます。
映画「酔画仙(チファソン)」のロケ地でもあります。
観音聖地とは、人々の苦しみの声を聞いて救ってくださる観世音菩薩がおられると信じられている場所です。なかでも海を望む襄陽の洛山寺、南海の菩提庵、江華の普門寺をまとめて、三大海上観音聖地と呼びます。3つの寺はどれも海を見下ろせる山裾にあり、普門寺でも境内のあちこちから西海と周辺の島々が眺められます。山の名も寺の名も観世音菩薩にちなむので、普門寺は最初から観音道場として建てられた寺だといえます。
ビャクシンは高さ1.7mのところで二股に分かれ、東側の幹は周囲1.3m、西側の幹は1.5mあります。寺の入口のイチョウ、前庭のケヤキとともに、境内の古木の風景をつくり出しています。磨崖観音菩薩坐像は、1928年に金剛山・表訓寺(ピョフンサ)の住職・李華応(イ・ファウン)と、普門寺の住職・裵善珠(ペ・ソンジュ)が一緒につくりました。文化遺産としての価値よりも、祈りの場として大切にされている場所で、階段の先で静かに祈る人々によく出会います。
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