蔚珍(ウルチン)の天竺山(チョンチュクサン)の深い谷あい、金剛松の森の道の先に、池を抱いたお寺があります。寺の西の尾根に仏様の姿をした岩があり、その影が寺の前の池に映るといわれることから、「仏の影」という意味の仏影寺(プリョンサ)という名が付きました。比丘尼(尼僧)が修行するお寺なので、境内には菜園があり、とりわけ整った温かい雰囲気が漂っています。
仏影寺は、新羅の真徳女王5年の651年に義湘(ウィサン)大師が建てたと伝えられています。池の上に五体の仏様の姿が浮かぶのを見た義湘が、そこに棲んでいた竜を追い払って寺を建てたという伝説があります。朝鮮の太祖5年の1396年には火災で一つの建物を残してすべて焼け、壬辰倭乱(文禄・慶長の役)のときにもう一度焼けましたが、再建されて今に至ります。
寺へ続く仏影渓谷一帯は、1979年に名勝に指定された谷です。近南面(クンナムミョン)から仏影寺に至る渓谷に沿って奇岩や断崖が続き、名前の付いた岩だけで30か所にのぼります。オヒョウツツジやイブキジャコウソウのような珍しい植物を含め、560種の植物が生育する生態の宝庫でもあります。
仏影寺には、大雄宝殿と応真殿のほかにも、宝物に指定された霊山会上図と仏輦(仏様をお乗せする輿)が伝わっています。境内のクヌギは天然記念物で、寺の入口の方にある浮屠(僧の墓塔)も文化遺産資料に指定されています。小さなお寺ひとつに、宝物と天然記念物、名勝がそろっているので、お堂ごとに案内板を読みながらゆっくり見て回る価値があります。
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