辺山半島(ピョンサンバンド)の南端、茅項(モハン)集落の裏手にある海辺の丘に、ヒイラギモチ(韓国名ホランガシナム)が50本余り群れをなして育っています。暖かい南の地方に育つこの木が自然に生育できる北限にあたるため、1962年に天然記念物に指定されました。茅項海水浴場から歩いて数分で着くので、海辺の旅の途中にちょっと立ち寄るのにぴったりです。
ヒイラギモチはモチノキ科の常緑樹です。つやのある葉の先が鋭いとげのように尖っていて、トラが背中をかくのによさそうだという意味でこの名前がついたといわれ、「虎の背かき木」「猫のつめ木」とも呼ばれます。4〜5月に花が咲き、9〜10月に赤い実が熟します。冬の雪の中でも赤い実が残るため、クリスマスの飾りにもよく使われます。葉は厚くて光沢のある四角形に近い形で、角ごとにとげがあります。雌木と雄木が分かれていて、赤い実がなるのは雌木だけです。おもに全羅南道(チョルラナムド)の南海岸と済州島(チェジュド)の西海岸に育ち、辺山半島が自生地の北端です。
道清里(トチョンリ)の南の海岸沿いの山裾に、50本余りがまばらにまとまっています。木の高さは2〜3mほどで、森というより背の高い茂みが丘を覆っているような姿です。道沿いの石垣の上から群落が始まり、手前に天然記念物の案内板が立っています。丘の上に立つと、木々の間から茅項の集落と海、向かいの島々が見下ろせます。
昔この地方には、旧暦の2月1日にヒイラギモチの枝を折り、魚と一緒に玄関先に吊るして、家に悪い気が入らないようにする風習があったそうです。とげのある葉が悪霊を追い払うと考えられていたのです。
ヒイラギモチは寒さに弱い暖温帯の木で、朝鮮半島では南海岸や済州島西部の海辺のような冬が暖かい場所を中心に育ちます。西海に突き出た辺山半島の南の海辺が、この木が自力で育つことのできる最北の地です。植物がどこまで広がって生きているかを調べるうえで重要な場所のため、天然記念物として保護されています。
群落の手前の茅項は、道清里の南端の港にある小さな漁村です。集落は茅項海水浴場に面し、干潟体験場も近いので、ヒイラギモチの丘は海辺の村の散策コースの一地点として立ち寄るのがおすすめです。