忠清北道・槐山(クェサン)の七星面(チルソンミョン)、七宝山(チルボサン)の麓の深い谷の奥に覚淵寺(カギョンサ)があります。四方を山が蓮の花びらのように囲む場所にあるので、訪ねる道のりからひっそりとしていて、お寺の中には宝物に指定された仏像と建物、高僧の塔と碑が集まっています。大きな観光寺院ではありませんが、古い山寺の雰囲気を静かに味わうのにぴったりの場所です。
覚淵寺という名前には、創建の説話が込められています。新羅の法興王の時代に唯一大師(ユイルデサ)が、今の七星面の双谷里(サンゴンニ)の近くにお寺を建てようと木材を削っていると、カラスの群れが飛んできて、かんな屑や木の切れ端をくわえてどこかへ飛んでいったといいます。不思議に思った大師がカラスを追いかけてみると、池にかんな屑が落ちていて、池の中には光を放つ石仏が座っていたと伝えられます。
大師はその場で悟りを開き、池を埋めてお寺を建てました。そこで「覚」(悟る)と「淵」(池)を使って覚淵寺と名づけたといいます。あくまでも伝わる話ですが、お寺の中心の仏像が石仏であることと符合して、興味深いです。
覚淵寺には、国の宝物が4件もあります。毘盧殿の中の石仏、高僧の塔と碑、そして2026年に新たに宝物になった毘盧殿の建物です。2026年に国家遺産庁は、これまであまり注目されてこなかった寺院の付属の仏殿10か所をまとめて宝物に指定しましたが、覚淵寺の毘盧殿もそのひとつです。規模は小さくても、建物と仏像、石造物がバランスよく残っているので、山寺ひとつを丸ごと学ぶのに向いた場所です。