瑞山(ソサン)市浮石面(プソンミョン)の看月島(カヌォルド)の沖にある看月庵(カヌォラム)は、潮が引けば歩いて渡れ、潮が満ちれば島になる小さな庵です。満ち潮のときは海に浮かんでいるように見え、引き潮のときは海の道を通って庭先まで入れます。西海(黄海)に沈む夕日とあわせて眺める風景が人気で、午後遅くに訪れる人が多いです。
看月庵は、朝鮮の太祖・李成桂の王師だった無学大師(ムハクテサ)が建てたと伝えられています。無学大師がここで修行していて月を見て悟りを開いたことから、庵の名前を看月庵(月を看る庵)、島の名前を看月島としたという話があります。無学大師が看月島のカキで漬けたオリグルジョッ(カキの塩辛)を太祖に献上したという伝説も、あわせて伝わっています。
ただし、1530年に編纂された『新増東国輿地勝覧』には看月島だけが出てきて看月庵は出てこないため、実際の創建は朝鮮後期とみる説もあります。朝鮮末期に廃れたあと、近代に満空禅師(マンゴンソンサ)が再建しましたが、その時期は資料によって1914年または1941年と書かれています。2016年に伝統寺刹に指定されました。
瑞山には、無学大師の名前にまつわる伝説もあります。オリグルジョッを売りに市場へ向かっていた女性が、道で子どもを産み、森に寝かせておいて戻ってみると、1羽の鶴が翼で子どもを包んでいて、「ムハク」と鳴きながら飛び去ったといいます。そこで、子どもの名前を無学(ムハク)とつけたという話です。
看月庵には、無学大師が修行を終えて去るときに、前庭に木の杖を挿し、「この木が枯れたら私が死んだと思いなさい」と言ったという話も伝わっています。その木が生きているのを子どものころに見たという人もいて、木が枯れてからそれほど経っていないという話もあります。観音殿の仏画は、龍となって義湘(ウィサン)大師と浮石寺(プソクサ)を守った善妙(ソンミョ)に似た姿で、目を引きます。
看月庵の前にある看月島の村は、カキとオリグルジョッで知られる場所です。村の入口のオリグルジョッ記念塔や、海辺に沿って歩く看月島海洋景観探訪路とあわせて巡れば、潮を待つ時間も退屈しません。