忠武路(チュンムロ)駅から数歩歩くと、ビルの森が途切れ、瓦屋根と土塀が現れます。南山谷韓屋村(ナムサンゴル・ハノクマウル)は、南山の北麓に、朝鮮時代の韓屋5棟を移築・復元し、伝統庭園をつくった場所です。北村(プクチョン)のように人が暮らしている町ではありませんが、それだけに庭や部屋の中まで気軽に見て回れ、入場料もかかりません。
この一帯は、朝鮮時代には渓谷が流れ、東屋があって、夏の避暑地として名高い場所でした。青い鶴が遊んだということから青鶴洞(チョンハクトン)と呼ばれ、景色のよさで知られた漢陽の五つの谷のひとつでした。しかし現代には、首都防衛司令部が置かれた軍事地域でした。
1989年にソウル市が「南山の本来の姿を取り戻す」事業でこの土地を引き継いだことで、変化が始まりました。ソウルのあちこちに散らばっていた韓屋を移築・復元し、谷に水路を引いて東屋を建て、伝統庭園をつくりました。村は1998年にオープンしました。
5棟は、形も大きさもそれぞれ違います。母屋と舎廊棟、門棟がつながり、庭を「口」の字形に囲む家もあれば、「コ」の字形の母屋に「一」の字形の舎廊棟をつけた家、母屋と舎廊棟だけを備えた素朴な家もあります。祠堂棟を別に置いた家では、先祖を祀る空間も見られます。家ごとに台所のかまど、大庁(テチョン)の板の間、甕台(かめだい)の位置を比べてみると、朝鮮時代の人々が身分によってどのように暮らしていたかが感じ取れます。村には、伝統工芸品を展示・販売する場所もあります。毎年、伝統婚礼や年中行事の祭り、民俗行事が開かれ、テコンドーの演武やガイドによる解説プログラムが用意される日もあります。
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