遯巌書院(トナムソウォン)は、朝鮮の礼学の大家・沙溪金長生(キム・ジャンセン、1548〜1631年)を祀るために建てられた書院です。1871年の興宣大院君(フンソンデウォングン)の書院撤廃令でも生き残った数少ない書院のひとつで、2019年に「韓国の書院」9か所のひとつとしてユネスコ世界遺産に登録されました。古代の建築制度に倣ったという講堂応道堂(ウンドダン)が、この書院の顔です。
金長生の父・黄岡(ファンガン)金繼輝(キム・ゲフィ)が建てた正会堂(チョンフェダン)と、金長生が建てた養性堂(ヤンソンダン)で学んだ弟子たちが、師を偲んで1634年に書院を建てました。書院は孝宗(ヒョジョン)と顕宗(ヒョンジョン)の時代に王から扁額を賜る賜額を受け、その後、金長生の息子・金集(キム・ジプ)、さらに宋浚吉(ソン・ジュンギル)と宋時烈(ソン・シヨル)も合わせて祀られました。
もとの書院は、現在の場所から北西へ約1.5km離れたスプマル(「森の村」の意)にありました。連山川(ヨンサンチョン)に近く、洪水のたびに庭まで水が上がってきたため、少し高い今の場所へ移しました。移した年は、資料によって1880年または1881年とされています。書院の名は、旧跡にあった大きな岩「遯巌(トナム)」に由来し、「隠れて暮らす」という意味が込められています。
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