江原道(カンウォンド)三陟(サムチョク)市新基面(シンギミョン)大二里(テイリ)の深い山中、標高約820mの地点に、高さ10mの洞窟の入り口が大きな口を開けています。幻仙窟は、これまでに確認された通路だけで6.2km、全体で約8kmと推定される、韓国最大級の石灰岩洞窟です。そのうち約1.6kmを鉄製の観覧路で歩きながら、洞窟の中を流れる川や滝、人が小さく見えるほど大きな広場を見ることができます。
幻仙窟のある石灰岩は、約5億3千万年前に海の底で積もった地層です。このあたりは大小の洞窟が集まるカルスト地帯で、1966年に幻仙窟や非公開の観音窟などが大二里洞窟地帯という名称で天然記念物に指定されました。幻仙窟が一般に公開されたのは1997年10月です。
名前には伝説が絡んでいます。ある僧侶が洞窟で修行したまま出てこず、仙人になって天に昇ったという話や、水浴びをしていた仙女が人に見られて洞窟の奥へ消えたという話が、どちらも伝わっています。入り口の近くからは人が暮らした痕跡が見つかり、僧侶の住まいだったのではないかという話もあります。
幻仙窟の特徴は水です。洞窟の壁にある数え切れないほどの割れ目から水が湧き出して川となり、観覧路に沿って10か所の大きな水たまりと、いくつもの滝が続きます。水流が強いため鍾乳石や石筍はあまり大きく育たなかった代わりに、壁を伝って流れ落ちた流石、棚田のように何段にも水がたまった畦石、ポップコーンのように突き出した洞窟サンゴ、カーテン状の鍾乳石が豊富です。中心の広場には「玉座台」と名付けられた生成物があり、長く連なる岩壁は「万里の長城」と呼ばれています。
洞窟の入り口は幅約14m、高さ約10mです。入り口を抜けると、洞窟の川の力で回る水車が見え、観覧路は階段398段を上り下りしながら続きます。通路はおおむね高さ15m、幅20mほどと広く、深い割れ目の上には橋がかかっています。中心の広場は直径が約40mにもなり、床に白い砂の層が敷かれているため、照明が当たると洞窟の中にもうひとつの風景が広がります。
洞窟内ではこれまでに47種の動物が確認されました。肺を持たないサンショウウオ、洞窟グモ、カマドウマなどが暮らし、そのなかのファンソンチャンニムジョムモンジポルレ(ゴミムシの仲間)など4種は、幻仙窟でしか見つかっていない固有種です。観覧路の外に手を伸ばしたり、水に物を投げ入れたりしないことが、この生き物たちを守る方法です。
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