梨泰院は、ソウル市龍山(ヨンサン)区梨泰院洞一帯の商業地域で、ソウルでもっとも国際的な町のひとつとされています。韓国ではなかなか見つからない世界各国の料理を出す食堂、古いジャズクラブと古本屋、イスラム寺院のまわりの中東料理店やお店が、ひとつの町に混ざり合っています。南山(ナムサン)の南の斜面に沿って細い路地が入り組んでいて、歩くのがとても楽しい場所です。
名前は、朝鮮時代に役人や旅人に宿と食事を提供していた「院」に由来します。この院の名前もイテウォンといい、孝宗の時代にここに梨の木が多かったことから、「梨」の字を使った梨泰院と書くようになったという記録があります。高麗の恭愍王が紅巾賊を避けて南へ避難したときに梨泰院を通ったという記録が残るほど古い道筋で、朝鮮時代には漢陽から嶺南(ヨンナム)へ向かう道の最初の宿場でした。古い記録には、近くに高山寺というお寺と泉、大きな松林があったと書かれています。
現代の梨泰院は、1945年以降に置かれた米軍龍山基地とともに変わっていきました。基地の周りに外国人向けの商店や飲み屋ができ、朝鮮戦争後、時が流れるにつれて、ショッピング街へ、さらに世界の料理とナイトライフの街へと変わっていきました。大使館の多い漢南洞(ハンナムドン)、西氷庫洞(ソビンゴドン)が近いため、外国人住民も多く暮らしています。
2022年10月29日、ハロウィンのお祭りを楽しもうと大勢の人が集まった夜、梨泰院の狭い路地で群衆雪崩事故が起こり、150人を超える人が命を落としました。この町を歩くときは、この出来事を心に留めて、静かに過ごす旅行者も多くいます。