漢灘江(ハンタンガン)沿いの広い丘にある全谷里遺跡は、韓国でもっとも有名な旧石器遺跡です。ここから出土した握斧(ハンドアックス)は、ヨーロッパやアフリカのアシューリアン石器と同じ形を備えたもので、東アジアでは初めて確認された例でした。それまで学界では、東アジアにはこのような石器はないとされていたため、全谷里の発見は、世界の旧石器研究で大きな注目を集めました。
遺跡を見つけたのは、学者ではなく、ひとりのアメリカ軍兵士でした。東豆川(トンドゥチョン)の米空軍の気象隊に勤務していたグレッグ・ボーエンは、漢灘江の遊園地に遊びに来て、川辺で変わった石を見つけました。石器だと判断した彼は、標本と報告書を金元龍(キム・ウォニョン)教授に送りました。発見の時期は、資料によって1977年または1978年とされています。
1979年の予備調査を皮切りに、これまで何度も発掘が続けられ、握斧、チョッパー(礫器)、スクレイパー(掻器)、多面石器などさまざまな石器が出土しました。同じ年の10月2日に国の史跡に指定されました。
最初の予備調査では、ボーエンが石器を拾った場所(第1地点)のほかにも、金元龍教授のチームと鄭永和(チョン・ヨンファ)教授がそれぞれ新しい地点をひとつずつ見つけ、3つの地点で石器31点と剥片15点を集めました。この調査結果が1979年に学界に初めて報告され、全谷里は一気に世界の旧石器研究の地図に載りました。
全谷里の握斧が何年前のものかについては、まだ研究が続いていて、年代は資料ごとに差があります。それでも、漢灘江と臨津江(イムジンガン)に沿って点在する旧石器遺跡のなかで、全谷里がもっとも大きく広いことははっきりしています。毎年春には、遺跡一帯で漣川旧石器祭りが開かれます。
訪問前に最新情報をご確認ください。