麟蹄(インジェ)と束草(ソクチョ)のあいだで白頭大幹(ペクトゥデガン)を越える、標高826mの峠です。束草側からくねくねとした旧道を登ると、雪岳山(ソラクサン)の**蔚山岩(ウルサンバウィ)**がすぐ目の前に屏風のように立ちはだかり、峠の頂上からは束草の市街と東海(トンヘ)を見下ろせます。2006年にトンネルが開通してから旧道は静かになりましたが、そのおかげで、景色を目当てにわざわざ訪ねるドライブコースになりました。
ミシリョンは、朝鮮時代の地理誌『新増東国輿地勝覧』に「弥時坡嶺(ミシパリョン)」という名前で登場します。道が険しくしばらく使われなかったものの、成宗の時代に再び開かれ、その後も使用と閉鎖が繰り返されました。1950年ごろに自動車が通れるようになり、朝鮮戦争のあとは軍の作戦道路として管理されていましたが、1989年に2車線で舗装され、一般に開放されました。珍富嶺(チンブリョン)、寒渓嶺(ハンゲリョン)とともに、嶺西(ヨンソ)と嶺東(ヨンドン)を結ぶ主要な峠でしたが、2006年にミシリョントンネルが開通して、車の大半がトンネルへ移りました。2010年には麟蹄側の寒渓交差点からトンネルまでの区間も4車線に広がり、いまではソウルから束草へ向かう車のほとんどがトンネルを通ります。
峠の頂上には、束草と東海を見下ろす休憩所がありましたが、トンネル開通後に客足が減り、2011年に閉店しました。雪岳山国立公園は、古い建物を撤去し、削られた土地を埋めて元の地形を取り戻す白頭大幹の生態軸復元工事を行い、その場所に2020年3月、小さなミシリョン探訪支援センターが開館しました。センターでは復元前後のミシリョンの写真を見比べられ、前庭の展望台からは束草市街と海がひと目で見渡せます。