朝鮮戦争のとき、ソウルを離れた政府は、釜山を臨時首都としました。西区富民(プミン)洞にある臨時首都記念館は、その時代に李承晩大統領が滞在して国政を執った官邸を、当時の雰囲気に整えた場所です。華やかな宮殿ではなく、素朴な2階建ての家で、戦時中の重要な決定が下されたという点が、ここを特別な場所にしています。
建物は1926年8月10日に、慶尚南道知事の官舎として竣工しました。1925年に慶南道庁が晋州(チンジュ)から釜山に移ってきたのに合わせて建てられた家です。1950年に戦争が始まり、釜山が臨時首都になると、1950年8月18日から1953年8月15日まで大統領官邸として使われ、政府がソウルに戻ったあとは、再び知事の官舎になりました。
1983年に慶南道庁が昌原(チャンウォン)に移ったことで官舎としての役割が終わり、1984年6月25日、戦争が始まった日に合わせて臨時首都記念館として開館しました。2000〜2001年に官邸を復元し、2012年には、官邸の裏手にある旧釜山高等検察庁の検事長官舎を改装して、展示館をオープンしました。官邸は2018年に「釜山 臨時首都大統領官邸」の名で国の史跡に指定されました。
臨時首都の時期の官邸は、大統領の家であり執務室でもありました。戦時中の国防や政治、外交にかかわる重要な決定がこの家で下され、建物が当時の姿を比較的よく残していることから、歴史的・建築史的な価値が認められました。避難民であふれていた釜山の山の手の町と、この素朴な官邸をあわせて思い浮かべてみると、戦時下の臨時首都の姿がよりいきいきと伝わってきます。
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