釜山東区草梁洞(チョリャンドン)の山腹道路の上、赤い大きなポストが立つ屋上から、釜山の北港と影島(ヨンド)が見下ろせます。ここで書いたはがきは、1年後にようやく受取人に配達されます。手紙を愛した詩人、青馬(チョンマ)柳致環を偲んでつくられたこの小さな展望台は、山の斜面の街の風景と、ゆっくり届く1通の手紙で記憶に残る場所です。
統営(トンヨン)で生まれた青馬・柳致環は、釜山の慶南女子高校の校長を務め、草梁の山腹道路一帯とゆかりが深い人物です。彼は、時調詩人の李永道(イ・ヨンド)と数千通の手紙を交わしたことで有名で、郵便局の窓辺で手紙を書く心を詠んだ詩「幸福」は、今も広く読まれています。釜山東区が、彼を偲ぶ空間に「ポスト」という名前を付けたのも、そのためです。
展望台は、山腹道路ルネサンス事業の一環として建てられ、2013年5月15日に開館しました。開館時には2階に、青馬の詩と資料を紹介する「詩人の部屋」がつくられ、青馬とゆかりのある画家の絵と詩をあわせて掛けた展示が開かれました。当初は6か月後に配達されるポストでしたが、今ははがきが1年後に届くスローポストとして運営されています。
山腹道路とは、山の中腹に沿ってつくられた道という意味です。釜山の旧市街の裏の急な斜面には、朝鮮戦争のころに避難民たちが家を建てて住み、街が何層にも重なってできました。望洋路(マンヤンロ)は、それらの街をつなぐ道です。展望台が立つ場所からは、下に階段と屋根が連なる山の街と、その向こうの港が一つの画面に収まり、釜山が海と山のあいだにどのように根づいたのかを実感できます。釜山東区は、慶南女子高から水晶洞(スジョンドン)方面へ続く道を「詩人の道」と名づけ、文化の通りとして整備もしています。
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