光州川(クァンジュチョン)に沿って細長く続く良洞市場は、湖南(ホナム)地方で最大の伝統市場とされています。果物や野菜、祭祀用品、幣帛(ペベク)料理、ホンオ(エイの発酵料理)まで、ないものはないといわれるほど品ぞろえが豊富です。1980年5月には、商人たちが市民軍におにぎりを作って配った場所で、光州の人々にとっては、五月の記憶が刻まれた市場でもあります。
良洞市場は、1910年代に光州橋の下の砂地で、末尾が2と7の日に開かれていた市から始まりました。市の日ごとに人が集まっていた市場が常設市場として定着すると規模が大きくなり、光州の人々のあいだで、品ぞろえの多い市場を意味する言い回しがいくつも伝わるほど有名になりました。今では統一ロゴやオンラインモールを備えるなど現代的な設備も加わりましたが、路地ごとに露店が並ぶ昔の市場の雰囲気はそのままです。
1980年の5・18民主化運動のとき、良洞市場と大仁(テイン)市場の商人たちは、デモに立ち上がった市民たちに食べ物や飲み物、薬を差し出しました。とくに、良洞市場の商人たちが握って配ったおにぎりは、市民軍を支えた食べ物として記憶されています。2024年5月には光州市西区が市場でおにぎりの再現イベントを開き、市場の前にはこの話をしのぶ造形物が立っています。
ホンオは、発酵させて食べる全羅道の料理です。熟成するときに生まれるアンモニアのために、鼻を突くにおいがし、噛むほどにピリッとした刺激的な味が立ってきます。全羅道では、祝いの席や法事の膳に欠かせない料理なので、節句の前はホンオの店がいちばん忙しくなります。初めてなら、ゆでた豚肉と熟成キムチをホンオと一緒に包んで食べるホンオサムハプから始めると、においがぐっとやわらぎます。店によって熟成の度合いを選べるので、「あまり発酵していないもの」と頼んでみましょう。